持ち込み体験談
漆原さん 初めまして。漆原です。 不束者ですがみなさまの参考になればと思い、初めてこちらに体験談を投稿させていただきます。 私は今年の3月にマンガの専門学校を卒業しました。 卒業後は就職せずに、マンガ家さんのアシスタントをしながら投稿活動をしたいと思っていました。 しかしアシスタント募集を見つけて応募しても不採用で、卒業後1ヶ月くらいは何もしていない状態でした。 そんな時、家族に冷ややかな目で見られ、それがあまりにつらかったため私は専門の時に卒業制作で描いたマンガを持ち込みに行くことを決意しました。 持ち込みに行ったのは2日間で、1日2社ずつでした。K社、S・E、S社、S館の順で持ち込みに行きました。 持ち込みの1週間ほど前、出版社に電話をし持ち込みの約束をしました。 私は電話がとても苦手でしたが、勇気を振り絞り電話をしました。 K社は男性の方が出て、電話越しでしたが親切な印象を受けました。講談社の行き方など丁寧に教えてくださり、4社の中では一番好印象でした。 S・Eは女性の方が出て、普通でした。 S社は男性の方が出て、同じく普通でした。 S館は機嫌の悪そうな女性の方が出て、あんまりいい印象ではありませんでした。 K社、S・E、S社の電話対応してくださった方は担当者名を名乗ってくれましたが、S館の電話対応してくださった方は何も名乗りませんでした。忙しかったのでしょうか。 そして持ち込み当日。 K社に着き、受付で来客用の紙?に記入し受付に手渡すと受付のお姉さんが少年Mの方に電話をかけていました。 それから来客用のバッジ?みたいなのを受け取り服につけいよいよ少年Mのあるフロアへエレベーターで向かいました。 この時もうすでに緊張MAXで身体はカチンコチンになっていました。 少年Mのフロアに着き編集部を覗くと、がらりとしておりあまり人がいませんでした。 ちょうどお昼すぎくらいだったからだと思います。 勇気を振り絞って「すみませ~ん...」と声をかけると確か女性の方が出て来て、持ち込みの旨を伝えると、同じく持ち込みに来ている方が待っている待合室みたいなところに通されました。 私以外に3,4人すでにいて、1人は担当さんに見てもらっている最中でした。 10分くらい待つと、事前に電話した時の方がやってきて、「持ち込みは初めて?」と聞かれ「初めてです」と答えると別のところに移動しました。 そしてさっそく原稿を手渡し、読んでいただきました。 他の方の体験談ではものすごく早く読む方とじっくりと読む方など色々いるらしいのですが、初めてだったので早いかどうか分かりませんがページ数のわりには結構読んでくれたと思います。 読み終えてから、「専門学校とか行ってるの?」と聞かれました。 「はい、卒業したばかりです」と答えると「そっか~。コマ割りとか演出とか構成勉強してるなって感じはあるね」と、最初にお褒めの言葉をいただきました。 しかしそこから、疑問点や批判をいただきました。 ・主人公に好感を持ちにくい ・女性向けっぽい ・どの層をターゲットにしてるか分からない などです。絵はもちろん、もっと練習すべきだと言われました。 それからアドバイスとして、 ☆他人の話を読まされてる感じがする...主人公を好きになる要素、共感ポイントを作って読者を考えること ☆キャラクター作りをもう少し。現状、ありえない人間がいる(私のマンガのキャラです)、というだけで終わってしまっている などの言葉を頂きました。 それから「何か質問ある?」と聞かれましたが緊張のあまり何も考えてなかった私は、「特にないです...」と言って終わってしまいました。 最後に、「32ページくらいの読んでみたいなぁ...」や「また持ち込みに来て下さい」と言ってもらえました。 生まれて初めての持ち込みでしたが、とても優しい担当さんに見てもらえて本当に良かったと思いました。 大体30分くらい見ていただきました。 次にS・Eに持ち込みに行きました。K社の持ち込みの時間とだいぶ空いていたので、場所の確認をしてマクドナルドで時間を潰していました。 S・Eはとにかく会社が大きくて、思わず入るのをためらってしまいました。 時間になり、少年Gの編集部のあるフロアへ向かいました。 エレベーターを出ると右手に自動ドア?のようなものがありその近くに無線がありました。 そこで電話をし持ち込みの旨と担当者の名前を告げしばらくすると、女性の方が案内してくれました。 この方が担当さんなのかな?と思いましたが、個室に通されると、記入用紙とペンを手渡され、 「それでは担当の方をお呼びしますのでそちらに記入して少々お待ち下さい」と言われ、違ったようです。 記入した用紙には、名前や住所、好きなマンガ家さん、投稿歴、受賞歴、アシスタント歴、アシスタント希望するか/しないかなどの項目がありました、 座ってしばらく待っていると、先ほどとは違う女性の方が入ってきました。 「初めまして、何々です」 電話の方でした。何だか疲れている様子でいらっしゃいました。 さっそく原稿を手渡し見ていただきました。 読むペースは先ほどのK社の方と比べると早く、淡々とめくっていました、 1回読み終え、原稿をトントンと綺麗に整頓してから置くと、淡々と批評を並べ始めました。 まずどこがダメなのかよりも先に、そのできている原稿のストーリーを整頓するように、ここはこう、こういう流れにすべきですと話していました。 そこからダメな点を淡々と告げていました。 ・女の子が可愛くない。不細工なヒロインは悲惨。 ・目的が分からない。この二人の今後が見たいと思わない ・コマ割りが悪い。 その担当さんが口を開いてからずっと喋り続けているものなので、私はうなずく間もなくひたすら必死に仰っていることをメモしていました。 しかしダメな点を言われた時ら辺で、ダメな点を指摘されたのが悲しかったのか、先ほどのK社の方と違いすぎるのにびっくりしたのかよく分からない感情になり情けないことに私はその場で泣いてしまいました。 さすがに担当さんはしゃべるのを止めていました。 すいません、と言い私の涙が止まるまで待ってくださいました。 それから、アドバイスを何点かいただきました。 ダメだと言われたコマ割りについては、 ☆見開きで見て左中央ら辺が一番読者が目に入りやすい ☆コマ割りの上手い荒川弘先生の作品などを模写してみると参考になる ☆めくって笑う、を常に意識して欲しい など詳しく教えて頂きました。ぐずぐずしながらそれを聞いていた私に、 「まだ若いから大丈夫」などと慰めてくださいました。 厳しい指摘が多かったですが、一番丁寧にアドバイスをいただけたかと思います。 40~50分くらい見ていただきました。 持ち込み2日目。 S・Eに厳しく言われ傷心を引きずってS社へ。 S社に着くと、K社のように先に受付で用紙に記入しバッジをいただきました。 1階すぐに持ち込み用のブースがあり、すりガラスで何カ所か仕切られてる感じです。 5分くらい待っていると、若い男性の方がやってきました。 電話の印象では40代~かな?と思っていましたが若い方でした。 原稿を手渡すと、パラパラパラ、って早い!今まで見ていただいた3社の中で一番読むのが早かったです。 そして、批評はこんなことを言われました ・ツッコミがない ・インパクトが足りない。 ・絵はひたすら練習 と、あんまり深い部分までは言ってもらえませんでした。 それより、一度も目を合わせてくれなかったのが一番気になりました。 10分足らずで終了してしまいました。大御所少年Jはさすがにレベルが高かったと思いました。 そして最後のS館。 去年一度持ち込みではありませんが投稿したことがあり、その時は少年Sを狙っていました。 一応以前投稿した時の原稿のコピーを持って行きました。 K社、S社と同じく来客用の用紙を記入しました。 担当者の欄は予約の際担当者さんが名乗っていなかったため分からず、空白でした。 受付に手渡す時に担当者の名前を伺っていなかったと伝えると、分かりましたといい首にかける名札?みたいなのを受け取りました。 しばらく待っていると、若い男性の方がやってきました。 そしていくつか仕切られた持ち込み用ブースの方に案内されました。 原稿をさっそく読んでもらいました。「読んでる間に、これ書いて」と言われ手渡されたのは、持ち込み用ノート(と言っても紙を二つ折りにしたもの)でした。 S・Eと同じように名前や住所、電話番号などの項目がありました。 担当者さんが読み終えた頃、ちょうど私も記入が終わり、批評をいただきました。 一言目に、「面白かった。」をいただきました。「ラリアット笑った(作中でラリアットが出てきます)。」 「表情もイイし、ちょっとしたところに気を配っているね」と褒めていただきました。 それからアドバイスとして、 ・すでにキャラクターの関係性ができあがってしまっているせいか、ずっと頭の中に「??」 ・ストーリーをもっと入念に。インパクトが足りない などを頂きました。 それから「賞に出してみる?」と言われました。 「もしかしたら引っかかるかもよ」とも言われ、どうしようかと思いましたが、 他の3社で言われたことを考えると本当に未熟な点が分かり、次回、今より良い作品を作ってからまた来ますと言い今回は断らせていただきました。 私が記入した持ち込み用ノートを見ながら、投稿歴を見て 「前に投稿したことあるんだ?」 「ハイ。」 「何で引っかからなかったんだろ~」 「一応、コピーを持って来たのですが」 といい見てもらうと、これじゃ、引っかからないなと笑っていました。 友好的な感じの方でした。30分くらい見ていただきました。 4社とも名刺はもらえず、担当になってもらえませんでしたが、とてもためになる2日間でした。 ...と、こんな感じでした。なるべく事細かに書いたので、少しでも参考になればと思います。 今は何とか念願のアシスタントをやっています。 自分の作品をプロの目線で見ていただくことができますし、自分では気づけなかった悪い点がはっきり分かると思うので、本当にマンガ家を目指している方は勇気を出して持ち込みに行くべきだと思います。 また、持ち込みに行ったらここに体験談として書かせていただきます。 長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
更新:2015年4月10日