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長くなってしまいましたが、

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持ち込み体験談

ゆきのさん 02/11/15

長くなってしまいましたが、読まれた方に一つでも為になる事がありましたらと思います。

最初の持ちこみ体験が良かったからでしょうか、私はまた投稿よりは持ちこみに行きたいと思いますし、人様にもお勧めしたいと思います。

私はかつて、ゲーム雑誌にハガキを投稿していたのをきっかけに、ゲームコミックを描かせていただいた事がありました。他には、イラストを下請けで描いていた以外、「漫画」の仕事はないです。
10代の頃投稿は三度しましたが、その都度ランクが下がって行きまして、漫画の投稿は全部で5回にも満たないです。
しかし原稿料をもらった事があるので、扱いは『プロの方ですね』となります(!)。まぬけな話ですが、編集の方に言われて気付きました。
私はもうプロだったのです…(かなりビックリでした)。

ここ数年、「やっぱり自分は絵ではなく漫画で仕事をしたい!」と思い、先月末、『りぼん』に持ちこみに行きました。

妹が「どうしてりぼんなの?」と驚いて聞いてきたのですが、私が昔から読んでいた…と言うより、『読める』少女漫画雑誌が、りぼんだけだったので。
と言うのは、他の少女誌も買った事があるのですが、めくっただけで『読む気が起きない』ものが多かったり、『読める』ものでも、別に次回が気になったりしなかったからです。

予定日の1週間前、予約の電話を入れました。
しかし…情けない事にどうしても表紙が思い浮かばず、朝一の電車に乗るギリギリの時間まで描いておりました。
当然の事なのですが、原稿は、ちゃんと完成させて、それから持ちこみの電話をしましょう…。

予約の際、「持ちこみは初めてですか?」と聞かれ、「はい」と答えると、ご丁寧に集英社の場所を教えて下さったのですが、当日迷いました…。
出版社がたくさんあり、しかも『りぼん編集部』は、本社とかなり離れた別館なのです。駅の出口を間違え、本社に入ってしまい、本社受付のお嬢さんに丁寧なご説明と案内地図を頂きました。
(ここまでに、漫画以前に自分が情けないです)

そして、電話を受けて下さった方がそのまま私の原稿の批評をして下さいました。

自分でわかっていたことを、言われて気づきなおす事が全体的に多かったです。

20代半ばくらいの男性で、とても丁寧な方でした。
「絵は描きなれていますね」と言われました。
(一応絵で仕事をしていましたので、物の形がわかる程度には描けていると思います。)
「几帳面でしょう。真面目って言われませんか?」と言われました。
小さな修正ミスも気になりますし、コマのすみのはみ出しとかを鬼の様に修正します。挙句、原稿用紙の『絵を描いていい領域と出てはいけない領域の境目』には、必ず線を引きます。そう言うところも御覧になっているのだと思いました。
「見られている」と思うと、「どう見られているのか」気になりますから、「ああ、そこはこう言う受け止め方をされるのか」と言う、『気回し』をしますね。それも、持ちこみの良いところだと思います。

あと、言われた事を箇条書きにすると、
「主人公の女の子がどう言う子なのかわからない」
(主人公に個性がない・共感を呼ばない)
「絵は丁寧だけれど、特に目を引くものはない」
(前に出る魅力がない)
「話はまとまっているが、保守的」
(カタイ…これ全体的に言われましたね)
「女の子の感情のマイナスが0になっただけで、プラスまで行っていない」
(話は大袈裟なくらい盛り上げる!と)
同人誌の経験があるというと、
「同人誌は芸術家的に、自分だけの作品を描いて満足してればいいわけですが…漫画家は人を楽しませる、エンターテイメントに徹しないと…」
…などです。
()内は、私の直観的な解釈です。

お聞きしたい事もあったのですけど、どれも人様に聞いて答えが得られるようなものではないと言う確信が自分にある疑問だけに、ろくに聞けませんでした。
(例:作品表紙の描き方、など…これも自分の作風に組みこむしかないですよね)
メモを取る、というのは敢えてしませんでした。その時書いた文字だけがしっかり残ると、言われた言葉の内容やその時の気持ちを、思い返した時に広く解釈できない様な気がしたので。
覚えていなければならないことは、いやでもしっかりと心に刻まれました。
また、指摘された面を「やっぱり…」と、気付いていた自分を確認すると言う事にもなりました。
わかっていてできていない自分をどうすればいいのかが、課題だと思いました。

何らかの意図があって乱暴な言い方をしていない限り、『批評』と言うものは『読んだ方が感じた事実』というだけの事であって、それ自体は誉めでもけなしでもないと思います。
いや、他の方の体験談を読むに、そう思える私が幸運なのかもしれませんが。
一番最初に出会う編集の方って、影響大きいですよね。
(編集の方に出合うのは初めてではないので)

今回の作品については、恋愛感情で言えば
『まあまあいい人だけど、いなくてもいいし、どうしても会いたいって訳じゃないし、今一つ魅力不足。真面目な、ちゃんとした人だって言うのはわかるんだけどね…どうしても付き合いたいとは思わない』
と言われた感じです。

でもこれは、あくまで今回の作品についてです。
まだ、見せていない部分、描いていない事はたくさんあるし、それをどんどん出していけば、「おお、こう言う面もあるんだ」とか「こうしてる時の方がいいじゃない」とか思ってくれるかもしれない!って思っています。と言うか、そう思って頑張っています(笑)。自分を上手に励ましてあげる事も大事だと思います!

また、とても為になったお言葉は(うろ覚えですが内容的には)、
「絵は多少崩れていても、パワーが前面に出ているものの方がいいんです」
「少女漫画って、結局男の子と女の子がくっつくだけの話じゃないですか。だから、『どんな男の子とどんな女の子か』、ドラマと言うのはそこから生まれるんですよね」
です。
確かに、少女漫画はいい男をゲットする満足感を得るのがメインな訳ですよね。蔑むんじゃなくて、そう言う欲求のもとに作られているものだと言う事で。きれいな服を着たいとか、普段できない事をできるとか、そう言う爽快感を満たすもの。
要するに『娯楽』だから、読んで楽しくなくちゃ、誰も読まないし買わないわけです。
なんと言うか、『基本中の基本』を見つめなおしました。

最後に、
「…惜しいなぁ…うん…」
と言って下さったのが、非常に励みになりました。

で、帰り際に(多分、こっそりとだと思うんですけど)
「これから他に回られるんですか?」
と聞かれました。私は、本命しか頭になく(第一、それは二股がけみたいな感じでやってはいけない事だと思っていたし…)
「いえ…」
と言ったのですが、
「人によって本当に全然言う事が違いますからね、色んな人に見てもらった方がいいですよ。真面目な方がいいって言う所もあるし…特にこの辺だと、出版社さんかたまってますし。大体1箇所(持ちこんで批評を受けて)一時間と見て…3、4社回る方もいらっしゃいますよ。」
とアドバイスを下さいました。
「まぁ、それで最終的にうちを選んでもらえれば嬉しいですけども」
と。
ひとまず、『使い道はあるのでは?』と言われたと受けとめました!!

そして、帰宅後手当たり次第、持ちこみOKと書かれている漫画スクールのある少女漫画誌を買いこみ、作品を(雑誌傾向も)読みました。
次回の為です。次回は、回れるだけ回ろう!!と思いまして。

しかし、最初に書いたとおりなのですが、『読む気がする漫画が載っている』雑誌が、少ないのです。「おもしろい!」「続きは?」と思う漫画が、私としてはあまりにも少ないです。
私はほとんどの漫画を、好き嫌いの別なく『読めます』。でも、『読む気も起きない、面倒な』漫画もあります。
そこで改めて、私の本命はりぼんだな、と思いました。
載っている全ての漫画を読めて、続きが気になるから読みたい、買いたい。
そう思わせる事ができない雑誌は、漫画は続きませんよね。

目標は「デビュー」でしたが、もうプロだと言われてしまっている以上(汗)、『次の作品を掲載してもらう事』に気持ちを切り替えなければいけないと思いました。たとえ『一作載せてもらうことがあったとしても』、それでは、デビューであっても、プロではないなと思いました。
プロとは仕事をしつづけ、ちゃんとお金を稼げる事。お金を頂くに見合った作品が提供できる事。会社に利益が出せる事。

当然ながら、そんな事を確認致しました。

更新:2015年4月10日